ルイス・フロイスがみた信長居館3
清々しさ、美しさ、清潔さにおいて、私はこの宮殿と比べられるものをみたことがありません。
宮殿の中には、 技巧を凝らして丁寧に作られている部屋や廊下、前廊、厠(トイレ)が数多くあったと記憶しています。普段は誰も入ることなく、 私たちと一緒に入った佐久間信盛殿、柴田勝家殿も宮殿内を見るのは初めてだったとおっしゃっていました。
一階は絵画と塗金した屏風で飾られた約二十の部屋があり、 その部屋の周囲には、珍しい前廊が走っています。前廊の壁は、金地に中国や日本の物語の絵を描いたもので一面満されていました。
前廊の外には、 庭と称するきわめて新鮮な四つ五つの庭園があり、他の場所にも、宮殿の用に思いのまま使用できる泉があります。
二階さらに美麗な内装を施した婦人部屋があり、 その周囲を取り囲む前廊は市(まち)の側にも山の側にも中国製の金襴の幕で覆われています。そこでは小鳥のあらゆる音楽が聞こえ、 きわめて新鮮な水が満ちた他の池の中では鳥類のあらゆる美を見ることができます。
三階は山と同じ高さで、 一種の茶室が付いた廊下があります。それは特に精選されたはなはだ静かな場所で、なんら人々の騒音や雑踏を見ることなく、 静寂で非常に優雅であります。三、四階の前廊からは全市を展望することができます。
松田毅一・川崎桃太訳
「完訳フロイス 日本史2 織田信長篇2」 中公文庫2000 より引用
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